田舎でジガ
世界最大の伝統的な野外ミュージック・フェスティバルである、イギリスのサマセットにある牧場で行われるグラストンバリー・フェスティバル。
(日本ではフジロックの大将がこのフェスを日本で実現させるべく、フジロック・フェスティバルをはじめた事でも有名。)
超開放的な広大な自然の空間で、ジャンル多様な音楽をのんびりと楽しめる週末で、多くのイギリス人にとっては毎年夏の恒例行事となっている。
数ヶ月前にそのグラストンバリーでのメインヘッドライナーとしてJay-Zが発表された時、その反応は真っ二つに分かれた。
メインであるピラミッド・ステージでの土曜日のヘッドライナーというと、イギリスのギター・ロックバンドの演奏にのせて10万人のクラウドが大合唱、というのがグラスト定番なのだけれど、アメリカのヒップホップ・アーティストであるJay-Zがメインを飾るとなると、そりゃあイギリスの古きよきヒッピー・クラウドは黙っちゃいなかった。ヒップホップが日常に溶け込んでいる若い世代の音楽ファン達はそれを歓迎する中、「我々は伝統的なフェスティバルの「インディー」なスピリットを失っている」というフェスティバルに対する強烈なバッシングが起こった。
アメリカのヒップホップやR&Bはチャートでヒットするイギリスも、野外の音楽フェスティバルとなるとやはり観衆もアーティストも真っ白。
(雨で泥まみれになってのキャンプ、というのは基本的にブラックに魅力的なものではないという事実もあるだろうが)
以前にも50セントがイギリスのレディング・フェスティバルのメインステージを飾った際に、客から空き缶投げられたとかいう歴史もあります。
グラストンバリーの創始者(+牧場の主)であるマイケル・イーブスは、「若い世代を獲得するため、音楽の多様性を愛するフェスティバルにしたかった」とコメント。それでもグラストの定番ヘッドライナーであるオアシスのノエル・ギャラがーが「グラストは伝統的なイギリスのギターロック中心のフェスティバルだから、ヒップ・ホップは歓迎しない」と思いっきり批判。
他にも、10年ぶりにチケットが売り切れなかった事をジガのせいにしようとする批判的な報道など(ていうかこれはここ数年ずっとひどい天気で泥まみれのフェスティバルだったからだと思うんだけど)が、まだまだ真っ白なイギリス社会を浮き彫りにする中、遂に始まったジガのステージ。

・・・さすがジガ、ビーフ慣れしてるなんてもんじゃありません。新婚さんだからってなめちゃいけません。なんとステージに出るなり、ギターを抱えてオアシスの超ヒット曲「wonderwall」を歌いだしました。これはうけた!明らかにオアシスのノエルへのディス・バックであるこれに、大喜びで合唱する観衆。
その後、イギリスのギター・ロックやダンスミュージック、ヒット曲などを多く取り入れたステージで、かなり気合入の入ったステージでした。いや、かなりがんばってます。感動しました。批判的だったメディアも一転して「大成功!」と絶賛しているし、ヒップホップ嫌いなイギリス人の同僚まで興奮して「クール!」とテキストしてきた事からして、イギリス人の心は掴んだようだ。ジガ、よくやった。えらい。
Jay-Zのグラストンバリーでのフル・ステージがBBCのiPlayerで見れます。
クリックして見る>Jay-z@グラストンバリー・フェスティバル in BBC iPlayer
(1週間限定でフリーで、ビデオをダウンロードしたら1ヶ月見れるみたい。ジガのパフォーマンスは29分経過したとこくらいから。相変わらずTim Westwoodに鳥肌が立つ私です。)
暗闇の中、ライトで照らし出されるの10万人の観衆。いつ見ても鳥肌が立つ。私、グラストンバリー大好きなんです。
音楽で私達は色や言葉関係なくひとつになれるかな、とかいう、青春時代に夢見ていた夢を思い出した。



